🏃♂️はじめに
20mシャトルランは、学校の体力テストや各種スポーツの体力測定として広く活用されている、有酸素運動能力を測るテストの一つです。スタート地点とゴール地点を20メートルの間隔で設置し、徐々にテンポが上がる**合図音(ビープ音)**に合わせて、制限時間内に何度も往復することで、持久力や心肺機能のレベルを測定します。
特に小学生、なかでも高学年にとっては、体力テストの評価項目として重視されており、**「記録を伸ばすにはどんな練習が効果的なのか?」**という関心を持つ子どもや保護者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、小学生が安全に、かつ前向きに20mシャトルランへ挑戦し、記録を伸ばすための具体的な練習方法を詳しく解説します。ウォーミングアップやクールダウンの重要性、基礎体力を高めるためのトレーニングメニュー、そして心構えの整え方まで幅広く取り上げています。成長期の特性にも配慮しつつ、保護者や指導者も一緒に実践できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
第1章:20mシャトルランとは
1-1. 20mシャトルランの基本ルール
20mシャトルランとは、20メートルの距離を往復しながら、合図音に合わせて走り続ける体力テストです。合図音の間隔は最初はゆったりとしていますが、ステージが進むごとに徐々に短くなり、走るスピードも速くなっていきます。最終的には、合図に間に合わなくなるまで継続し、達成回数が記録として残るという仕組みです。
1-2. 小学生にとっての重要性
小学生の時期は、基礎体力の土台を築く大切なタイミングです。シャトルランのような持久系トレーニングは、心肺機能の発達を促すだけでなく、疲れにくい身体を作る助けにもなります。また、リズムに合わせて走ることで判断力や方向転換の動きも鍛えられます。
さらに、限界に挑戦する体験を通じて、粘り強さや集中力も育まれます。このように、体力面だけでなく、精神的な成長にもつながるのが、シャトルランの大きな魅力です。
1-3. 中高生や大人との違い
同じテストでも、中学生や高校生、大人とでは取り組み方が異なります。小学生は成長期の途中であり、筋力や心肺機能も未発達な段階にあります。そのため、無理な負荷をかけるとケガや体調不良の原因になるリスクも。
まずは、楽しみながら続けられることを最優先にした練習を取り入れることが重要です。以下で紹介する練習メニューや注意点を、ぜひ参考にしてみてください。
第2章:20mシャトルランのメリットと注意点
2-1. 主なメリット
✅ 有酸素能力・心肺機能の強化
徐々にスピードが上がる構成により、自然と心肺機能が鍛えられ、持久力が向上します。スピードよりも長く走り続ける力を問われるため、普段の体力づくりにも最適です。
✅ リズム感と集中力の養成
決まった合図音に合わせて走ることで、リズムを意識する習慣が身につき、集中力の持続力も高まります。
✅ 記録が明確でモチベーションにつながる
「何回走れたか」が数値で見えるため、小学生でも目標設定がしやすく、自己成長を実感しやすいです。
例:「前回は35回だったから、次は40回を目指そう!」
2-2. 注意すべきポイント
⚠ 急なペースアップによる負担
ステージが進むにつれてペースが速くなりますが、無理に追いかけようとすると関節や筋肉に過度な負担がかかります。練習では徐々にペースアップに慣れる工夫が大切です。
⚠ ターン動作による足への衝撃
20mごとの折り返しでは、膝や足首に負担が集中しやすいです。フォームや地面の状態にも注意しながら、ケガの予防を心がけましょう。
⚠ 熱中症や脱水症のリスク
特に夏場の屋外練習では、こまめな水分補給と休憩が必要です。室内でも油断せず、体調に気を配ることが重要です。
第3章:準備運動とクールダウンの重要性
3-1. ウォーミングアップでケガを防ぐ
テストや練習の前には、必ず**ウォーミングアップ(準備運動)**を行いましょう。これにより、筋肉や関節がしっかりと温まり、ケガのリスクが大幅に減少します。
おすすめのウォーミングアップメニュー:
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🔹 軽いジョギング
→ グラウンドなどをゆっくり走り、心拍数を徐々に上げる。 -
🔹 ダイナミックストレッチ
→ アキレス腱や太もも裏、股関節などを動かしながら伸ばすストレッチ。 -
🔹 全身体操(例:ラジオ体操)
→ 筋肉の温度を上げ、全身の可動域を広げる運動。
3-2. クールダウンで疲労を残さない
シャトルラン終了後は、クールダウン(整理運動)を忘れずに。心臓や筋肉に急激な負担をかけないように整えることが大切です。
おすすめのクールダウン方法:
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🔸 軽いウォーキング
→ 2〜3分ほど歩いて、心拍数をゆっくり下げる。 -
🔸 静的ストレッチ
→ ふくらはぎや太もも、股関節など使った部位を中心にゆっくり伸ばす。 -
🔸 水分補給
→ 失った水分・ミネラルをしっかり補って、体調を崩さないようにする。
💡 ウォーミングアップ+クールダウンのセットが、子どもたちの安全な運動習慣づくりのカギになります。
第4章:小学生向け基礎体力づくりのポイント
4-1. 有酸素運動を中心としたトレーニング
20mシャトルランの記録を向上させるには、有酸素運動による持久力アップが欠かせません。 小学生にとっては、以下のような運動を無理なく取り入れるのが効果的です。
🔸おすすめ有酸素メニュー
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ジョギング・軽めのランニング
→ 会話ができる程度のペースで始めて、徐々に距離や時間を伸ばしていきましょう。 -
サイクリング
→ 自転車を使った運動も心肺機能と脚力の強化に有効。坂道を交えたり、家族でサイクリングコースに挑戦するのも◎。 -
縄跳び
→ 同じ場所でリズムよく跳ぶ動きは心肺機能を高めるトレーニングになります。
二重跳びやクロス跳びなど、バリエーションを増やすと飽きにくく楽しく続けられます。
4-2. 無理のない筋力トレーニング
シャトルランでは、方向転換や姿勢維持に必要な筋力も大切な要素です。小学生には自重を使った軽負荷のトレーニングが安全でおすすめです。
🔹 基礎的な筋トレメニュー
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✅ スクワット
→ 腰の位置が下がりすぎないように注意しながら行う。10回程度から始め、慣れたら少しずつ回数を増やしましょう。 -
✅ プランク(フロントブリッジ)
→ 前腕とつま先で体を支える姿勢を10〜20秒キープ。体幹を鍛えて走行中のブレを減らします。 -
✅ カーフレイズ(つま先立ち運動)
→ ふくらはぎの筋肉を強化し、走る際の推進力・衝撃吸収力の向上に効果的。
4-3. 柔軟性を高めてパフォーマンス向上
筋力だけでなく、柔軟性も走りの効率と疲れにくさを左右する大事な要素です。
特に股関節・太もも・ふくらはぎなど大きな筋肉の柔らかさは、フォームの安定に直結します。
✨「前屈」「開脚」「太ももの裏を伸ばすストレッチ」などを毎日の習慣にすると、よりスムーズな走りが身につきます。
第5章:20mシャトルラン特化トレーニング
5-1. インターバルトレーニングで心肺強化
「ダッシュ+休憩」を交互に繰り返すインターバルトレーニングは、シャトルランに必要な持久力と心肺機能の強化に最適です。
💡例:20mインターバルメニュー
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約20mを全力に近いスピードでダッシュ
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ゆっくり歩いてスタート地点に戻る
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これを5〜10本繰り返す
無理なく、子どもの体調や体力に合わせて本数を調整しましょう。
5-2. ペース走+スピード練習の組み合わせ
シャトルランは序盤はゆっくり、後半は加速が求められるテストです。
そのため、一定ペースで走る能力+短距離ダッシュの力をバランスよく養う必要があります。
🔸 ペース走
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「楽に走れるペース」で**1〜2km(グラウンド5〜10周)**を目安に走る
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会話できるくらいのスピードを保ち、心拍数を過度に上げすぎないよう注意
🔸 スピード練習
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ペース走のあとに50m〜100mダッシュを数本追加
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短距離で一気にスピードを出す力を身につけることで、後半のペースアップに対応しやすくなります。
5-3. ステージ別シミュレーショントレーニング
シャトルランは「ステージ制」で進行します。事前にステージごとのリズムやペースを把握しておくことが本番の成功に直結します。
💡練習の工夫
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ビープ音の音源やアプリを使い、実際のテンポを体感
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「ステージ5まで完走を目標」といった小さな達成目標を設定し、モチベーションUP
5-4. ターン動作の強化練習
20mシャトルランでは折り返し(ターン)の動きが非常に多く、フォーム次第で疲労感や記録にも差が出ます。
✅ ターンのコツ
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小刻みステップで方向転換
→ 一気にひねるとケガの原因に。2〜3歩で軽やかに方向を変える練習を! -
左右交互でターン
→ 同じ足ばかり使うとバランスが崩れやすくなるため、左右交互に折り返す意識を持ちましょう。
第6章:フォームとテクニック
6-1. 正しい姿勢をキープ
長く走り続けるには、上半身の姿勢が重要です。前のめりや猫背になると呼吸が浅くなりがち。
✅ 軽く胸を張り、頭がブレないよう意識してまっすぐ走ると、酸素が取り込みやすくなり、スタミナを維持できます。
6-2. 腕の振りでバランスを取る
腕の動きは走るリズムと直結します。正しい腕の振りは、脚の動きのサポートにもなります。
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肘は軽く曲げる
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前:アゴの下あたり、後ろ:腰のあたりを意識
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ブレずにテンポよく振りましょう!
6-3. 呼吸のリズムを整える
中盤〜後半の苦しい場面では、呼吸が乱れるとペースダウンの原因に。
💨 「吸う・吸う・吐く・吐く」のようなリズム呼吸を意識し、足の着地に合わせて一定の呼吸パターンを作ると、苦しくなりにくくなります。
6-4. ターン時の踏み込みを意識
折り返し動作でしっかり止まれるかどうかが、次の一歩のスムーズさに大きく影響します。
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足の裏全体で踏み込んでストップ
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体重をうまく乗せ、スピーディーに反転
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つま先やかかとだけで止まるとケガのリスクがあるので要注意!
第7章:練習頻度と休養のバランス
7-1. 適切な練習回数を見極める
小学生がシャトルランに取り組む場合、週2〜3回の有酸素運動が理想的です。
インターバルトレーニングを毎日続けると、疲労がたまり、やる気や集中力の低下を招く恐れがあります。
☑ 体育や放課後の遊びも含め、1週間の運動全体量を調整しましょう。
7-2. 休養と睡眠の大切さ
子どもは成長期の真っただ中。運動と同じくらい、しっかりと休むことが体の成長と回復には不可欠です。
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休養日を設けて体を休ませる
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夜は早めに就寝して、睡眠時間を確保する
これにより、成長ホルモンの分泌が促され、疲労回復もスムーズになります。
7-3. 練習ログをつけよう
保護者や指導者と一緒に、練習の記録を残しておくと、体力の伸びや疲労の蓄積が見えやすくなります。
🔖記録例
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実施した運動の種類と時間
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その日の体調や気分
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シャトルラン本番の記録と変化
📒 成長や変化が「見える化」されると、継続する意欲もUP!
第8章:モチベーションとメンタルを育てる工夫
8-1. 小さな目標で“やる気”を継続!
目標設定のポイントは「達成しやすく具体的であること」。
例:「前回は40回だったから、今回は41回を目指そう!」
このような**“少しの成長”を目指す目標**は、子どもが達成感を感じやすく、継続的なやる気を引き出す効果があります。
大きなゴールだけでなく、小さな成功体験を積み重ねることが、結果的に大きな成長につながります。
8-2. 自己肯定感を育む声かけを
記録だけにとらわれず、子どもの努力や成長をしっかり認めてあげましょう。
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「最後まで諦めなかったね!」
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「フォームが前より良くなったよ!」
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「一生懸命取り組んでいて素晴らしかった!」
このようなプロセスを評価する声かけは、自己肯定感を高める重要な要素です。
結果が出なかったときでも、チャレンジした姿勢や努力を言葉で褒めてあげることが、次への意欲に繋がります。
8-3. チームでの練習は楽しく効果的!
友達と一緒に取り組むことで、自然とモチベーションが高まります。
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チームで合図音に合わせて走る
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ペアでお互いの記録を応援
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目標達成を一緒に喜び合う
仲間と取り組むことで、協調性や競争心が刺激され、より意欲的にトレーニングに取り組めるようになります。
第9章:保護者・指導者のサポートがカギ!
9-1. 安全な環境を整える
まずは「ケガをしないこと」が最優先。
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コースに障害物がないかチェック
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滑りやすい場所を避ける
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水分補給&休憩スペースを準備
また、体調が優れない子どもには無理をさせず、休ませる勇気も必要です。
9-2. 子どもに合った練習を
すべての子どもが同じ体力レベルではありません。
インターバルトレーニングやスピード練習など強度の高いメニューを導入する際は、慎重に。
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ウォーミングアップ&クールダウンを徹底
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練習後の表情や様子をよく観察
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日によって内容や強度を柔軟に調整
**「無理のない範囲で続けること」**が成長の秘訣です。
9-3. 前向きな声かけが力になる
ポジティブなフィードバックは子どもの心に大きな影響を与えます。
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失敗しても「また挑戦してみよう!」
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良かった点を具体的に褒める
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小さな進歩を一緒に喜ぶ
✅ 子どもは「できた!」という実感が自信につながります。
ぜひ、前向きな声かけを習慣にしましょう。
第10章:本番に向けた心と体の準備
10-1. 前日はしっかり休む&整える
テスト前日はコンディションを整える大切な日。
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🌙 早めの就寝でしっかり睡眠をとる
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🍚 エネルギーを意識したバランスの良い食事
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💧 水分はいつもより多めにこまめに摂る
10-2. 当日のウォーミングアップでパフォーマンスUP!
テスト開始30分前から軽い運動を始めましょう。
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軽いジョギング
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ダイナミックストレッチ
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軽くラジオ体操などで体を温める
心拍数を上げておくことで、最初からスムーズに動けます。
10-3. ペース配分と集中力がカギ
最初に飛ばしすぎないことが最大のポイント。
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前半:フォームと呼吸を意識しながらリラックス
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中盤〜後半:集中力を高め、「あと1回だけ!」という気持ちで粘る
🧠 「自分ならできる!」という前向きな思考が、記録更新を後押しします。
10-4. テスト後も忘れずにケアを!
走り終えた直後も、体をしっかりケアすることが大切です。
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🚶♂️ 軽いウォーキングでクールダウン
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🧘♀️ 深呼吸をして呼吸を整える
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👕 汗をかいたら着替えを!
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🥤 水分補給&軽食で回復サポート
終わってからの対応が、次への意欲や体調に大きく影響します。
✅ まとめ:楽しく、安全に、少しずつ前進を!
20mシャトルランは、心肺機能・持久力だけでなく、集中力や粘り強さも養える総合的な運動です。
しかし、小学生にとってはまだ発展途上の時期。安全を最優先に、無理なく、楽しみながら練習することが何よりも大切です。
🔑 成功のポイントをおさらい
ポイント | 内容 |
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✅ ウォーミングアップ&クールダウン | 怪我予防・疲労軽減に必須 |
✅ 有酸素+筋トレ | 基礎体力をバランスよく育成 |
✅ シャトルラン特化メニュー | インターバル・ターン練習で記録UP |
✅ 適切な休養と睡眠 | 成長と回復をサポート |
✅ 小さな目標+褒める声かけ | モチベーション&自信を育てる |
練習を重ねるごとに、子どもは確実に成長します。
「もう少し頑張ってみようかな」と感じたその一歩が、次の記録・次の自信につながっていきます。
保護者や指導者の皆さまも、ぜひ本記事を参考に、子どもたちの努力と成長を全力でサポートしてあげてください。
記録だけでなく、その過程で得られる経験こそが、未来への大切な“財産”となるでしょう。