はじめに:あれ?うちの子、なんだかやる気がない……?
中学生になると、急に勉強や部活に対するやる気がなくなってしまったように見える子どもが増えてきます。今まで意欲的に取り組んでいた子が、ある日を境に突然やる気をなくすと、親としては驚きや不安を感じるものです。
「前はもっと頑張ってたのに……」 「このままで大丈夫?」
そんな風に思ってしまうのも、自然な感情ですよね。
でも実は、中学生の“やる気が出ない”という状態は、成長の過程で誰もが通る道でもあります。体も心も大きく変化するこの時期には、本人も自分自身をうまくコントロールできず、戸惑っていることが少なくありません。
やる気が出ない理由には、いくつもの背景があります。
- 思春期特有のホルモンバランスの変化
- 勉強や進路への不安
- 周囲からのプレッシャー
- SNSやスマホの影響 など
こうした要素が重なり合い、中学生の心の中に“モヤモヤ”が溜まっていくと、自然とやる気を失ってしまうのです。
本記事では、そうした「やる気が出ない中学生」の気持ちに寄り添いながら、
- 親としてできる具体的なサポート方法
- 中学生自身がモチベーションを取り戻すコツ
- 実際の体験や見解も交えたアドバイス
を、たっぷりご紹介していきます。
お子さんの「やる気スイッチ」を押すヒントが満載です!
まずは、「うちの子だけが特別にやる気がないわけじゃないんだ」と安心しながら、ぜひ読み進めてみてくださいね。
中学生が「やる気が出ない」と感じるのは普通のこと
思春期は心と体のバランスが崩れがち
中学生は思春期の真っただ中にあり、身体的にも精神的にも大きな変化を経験しています。ホルモンバランスの急激な変化によって、感情の起伏が激しくなりやすく、今までできていたことが急に難しく感じることもあります。
- 気分の浮き沈みが激しくなる
- 自分に自信がなくなる
- 周囲との比較で落ち込む
- 「なんでこんなにイライラするんだろう」と自己嫌悪に陥る
- 今まで好きだったことへの興味が薄れる
こうした状態では、「やらなきゃいけない」と思っていても、体が動かない・気力が湧かないと感じてしまうのも無理はありません。親から見ると「ただ怠けているだけ」のように思えるかもしれませんが、実際には本人も原因がわからずに苦しんでいることが多いのです。
加えて、友人関係や部活動、進路など、中学生には日々多くのストレスが降りかかっています。それらが積み重なることで、ますますやる気を失ってしまうケースもあります。
一時的なものであることが多い
やる気が出ない状態は、決して「永遠に続くもの」ではありません。むしろ、**誰もが一度は通る“成長の過程”**ともいえます。今はやる気が出なくても、
- 時間の経過とともに心のバランスが整ってくる
- きっかけとなる出来事や人との出会いがある
- 環境の変化によってリフレッシュできる
といった要素によって、徐々に前向きな気持ちが戻ってくることが多いです。
親としては、「今はそういう時期なんだな」と理解し、無理に引き出そうとするよりもそっと寄り添い、安心感を与えることが何より大切です。
無理に「やりなさい」と言わず、まずは見守ることも大切です。焦らず、子ども自身が自分のペースを取り戻せるようサポートしていきましょう。
やる気を奪う原因1:過度なプレッシャー

「勉強しなきゃ」「いい成績をとらなきゃ」が逆効果に
親や先生の期待、周囲の目……
こうした過度なプレッシャーは、かえって中学生のやる気を奪ってしまうことがあります。
特に、
- テストの点数
- 成績順位
- 進路への不安
が気になりだすと、「失敗したくない」気持ちが先に立ち、動けなくなることも。
また、周囲と自分を比べすぎることもプレッシャーの一因です。 「友達はできているのに自分はできない」「兄弟と比べて劣っている」と感じると、 やる気どころか自己肯定感そのものが下がってしまいます。
加えて、「~しなければならない」といった義務感ばかりが強調されると、 勉強そのものが苦痛になり、モチベーションを奪う悪循環に陥ってしまうのです。
親の声かけで変わる
例えば、
「ちゃんとやったの?」「なんでこんな点数なの?」
と詰めるより、
「最近どう?なにか困ってることある?」
と対話を意識した声かけに変えるだけでも、子どもは安心感を得られます。
また、「点数が低くても、努力したことを見てるよ」「毎日頑張ってるね」といった、 過程を認める言葉かけがやる気の回復につながります。
子どもにとって、「自分は認められている」と感じられることが、 一番の心の支えになります。
プレッシャーはやる気の火を消してしまうことも。安心できる声かけで、心の火を灯してあげましょう。
やる気を奪う原因2:成功体験の少なさ
小さな成功が自信になる
やる気は「自信」と深くつながっています。
- 問題が解けた
- 覚えたことがテストで出た
- 褒められた
- 学校の発表で発言できた
- 友達に「すごいね」と言われた
こんな小さな成功体験が積み重なることで、子どもは「もっと頑張ってみよう」と思えるようになります。特に中学生の時期は、周囲からの評価や承認が自信に大きく影響するため、成功体験=自己肯定感の源と言っても過言ではありません。
大きな結果を求めすぎると、逆に「どうせ無理」と諦めてしまうこともあるので、まずは「できた!」を増やすことが重要です。
成功のハードルを下げよう
いきなり高い目標を立てず、
- 「今日は漢字を5個覚える」
- 「宿題を30分集中してやる」
- 「授業中に一つ質問してみる」
- 「家で10分だけ音読する」
といった実現しやすい目標を設定してあげるのも効果的です。
また、目標が達成できたら、しっかり褒めてあげることが大切です。 「よく頑張ったね」「その調子!」という一言が、次への原動力になります。
成功体験を積むことで、自然とやる気が育ちます。
親が“成功の芽”を見つけて言葉にしてあげることで、子どもは「自分にもできるんだ」と前向きな気持ちを持てるようになります。
やる気を奪う原因3:SNSやスマホ依存
「ついつい見てしまう」が集中を妨げる
中学生にとって、SNSやスマホはもはや生活の一部です。
- LINEやInstagram
- YouTubeやTikTok
- ゲームアプリ
これらは友達とのコミュニケーションや気分転換にも使われる反面、使いすぎると生活のリズムが崩れたり、学習時間が大きく削られたりする原因にもなります。
特にSNSでは、他人の投稿と自分を比べて落ち込んでしまったり、承認欲求が満たされないことでストレスを感じることもあります。こうした精神的な負担が、やる気の低下につながるケースも少なくありません。
また、夜遅くまでスマホを触ってしまい、睡眠不足になることで翌日の集中力が下がる……という悪循環に陥ることも多いです。
時間と環境を整える工夫
- スマホはリビングで管理する
- 勉強中は通知を切る
- タイマーで時間を区切る
- 「使っていい時間」「使わない時間」を明確にルール化する
- スマホの使用履歴を一緒に振り返って改善ポイントを見つける
といった環境調整を親が一緒にしてあげるだけでも、集中力の回復につながります。
また、単にスマホを取り上げるのではなく、子どもと一緒に「どう使えば有効か」を考える姿勢が大切です。自律的な行動を促すことが、やる気の持続にもつながっていきます。
やる気を奪う原因4:生活リズムの乱れ

睡眠不足や食生活がやる気を削る
思春期の子どもたちは、夜型になりやすい傾向があります。ついつい夜遅くまでスマホやテレビを見てしまい、睡眠時間が短くなっている中学生も多いのではないでしょうか。
睡眠不足は、集中力や判断力の低下だけでなく、気分の落ち込みや無気力状態にも直結します。
さらに、朝食を抜く、栄養バランスの悪い食事が続くと、エネルギー不足により脳の働きも鈍くなり、やる気が出にくくなってしまうのです。
基本の生活習慣を整える工夫
- 就寝・起床時間を一定にする
- スマホは夜9時以降は使わないルールを作る
- 朝食は必ず食べる(パンと牛乳だけでもOK)
- 好きな食べ物を朝に出すなど、楽しみを作る
といった生活習慣の見直しを、親子で一緒に考えることが大切です。
生活リズムが整うだけで、気分が安定し、やる気の土台がしっかりと築かれていきます。
「規則正しい生活」がやる気の第一歩。基本をおろそかにしないことが、やる気の土壌を育てます。
やる気を奪う原因5:目標が曖昧すぎる
「何のために勉強するのか」がわからない
中学生にとって、勉強や部活に取り組む意味を明確にイメージできないことは珍しくありません。
「テストでいい点取っても意味あるの?」 「なんのために頑張るのか分からない」
こんな声を聞いたことがある親御さんも多いのではないでしょうか?
やる気は、明確な目標や目的意識があるときに自然と湧いてくるものです。逆に、目標が曖昧だったり、「どうせ無理」と感じてしまっていると、努力する気持ちそのものが起きなくなってしまいます。
目標を“見える化”するサポートを
- 「何点とりたい?」「どの高校に行ってみたい?」と聞いてみる
- 親子で将来の夢や興味のあることについて話し合う
- 目標を紙に書いて見える場所に貼る
- できたことリストを作って、自分の成長を実感させる
など、子ども自身が目標を“自分の言葉”で語れるようになるサポートが重要です。
一緒に未来の話をする時間を作ることで、子どもは「自分の人生を考えていいんだ」と前向きになり、行動の目的が見えてきます。
小さくてもいいので「目指したいもの」があるだけで、子どものモチベーションは大きく変わります。
やる気を奪う原因6:他人と比較されることへのストレス
比較はモチベーションではなく“劣等感”を生む
「お兄ちゃんはもっとできたのに」「○○さんの子は成績がいいらしいよ」
こうした言葉は、親にとっては悪気のないものでも、子どもにとっては大きなプレッシャーになります。
特に中学生は、まだ自分の個性や強みに自信が持てない時期。その状態で他人と比較されると、
- 「どうせ自分なんて……」と落ち込む
- 頑張っても認められないと思い込む
- 自信を失い、やる気をなくす
といった悪循環に陥ってしまうのです。
比較ではなく“共感”を大切に
子どもに向けて伝えたいのは、**「あなたはあなたでいい」**というメッセージです。
- 「よその子は関係ないよ。あなたのペースでいいんだよ」
- 「昨日よりちょっと頑張れたね。成長してるよ」
- 「どう感じた?それ、すごく大事な気持ちだね」
といった共感を含む言葉がけが、子どもに安心感を与えます。
他人と比べるのではなく、過去の自分と比べる視点を持たせてあげましょう。
比較は子どものやる気の火を消してしまいます。評価ではなく共感で、心を育てるサポートをしていきましょう。
やる気を奪う原因7:完璧主義や失敗への恐れ

「うまくできないならやらない」がやる気を奪う
中学生の中には、真面目で頑張り屋さんな性格の子が少なくありません。そうした子どもたちは、つい**「完璧でなければ意味がない」と思い込みがち**です。
- 少しでも失敗すると落ち込む
- やる前から「無理」と決めつけてしまう
- 間違えることが恥ずかしいと感じる
こうした気持ちが強すぎると、「最初からやらない方がマシ」と感じ、やる気を出すこと自体を避けるようになってしまいます。
小さなミスも「成長の一部」と伝える
親ができることは、失敗を責めるのではなく、チャレンジしたこと自体を評価することです。
- 「やってみたことがすごいよ」
- 「間違えたところは次のチャンスになるね」
- 「誰でも最初は失敗するものだよ」
といった言葉が、子どもの心に安心感を与え、完璧主義から解放していきます。
「できる・できない」ではなく、「やってみようとする気持ち」を褒めてあげることが、やる気を取り戻す第一歩になります。
失敗は成功のもと。完璧を求めず、一歩ずつ進む姿を応援してあげましょう。
やる気を奪う原因8:家庭内の雰囲気や親のストレス
親のイライラは子どもに伝わる
日常生活の中で、親が忙しかったり、ストレスを抱えていたりすると、どうしても子どもに対する言葉や態度が厳しくなりがちです。
- 忙しくて話を聞いてあげられない
- 「早くしなさい!」「また忘れてるの?」と小言が増える
- 家の中の空気がピリピリしている
こうした状態が続くと、子どもは安心して自分の気持ちを話せなくなり、心を閉ざしてしまいます。家庭は一番の“安全基地”であるべき場所です。
家庭を“安心できる場所”に整えよう
- 毎日5分だけでも「今日どうだった?」と話を聞く時間をつくる
- 「ありがとう」「助かったよ」と感謝の言葉を伝える
- 親自身もリラックスできる時間を意識的に作る
こうした小さな工夫で、家庭内の雰囲気は大きく変わります。親が穏やかでいると、子どもも自然と安心し、心を開きやすくなります。
家の中があたたかく落ち着ける空間であること。それだけで、子どものやる気はぐんと回復しやすくなります。
やる気を奪う原因9:「やらされ感」が強い環境
自分で決めたことじゃないと動きにくい
中学生になると、自我が強くなり、親や先生からの「やりなさい」という指示に対して反発心を持つことが増えてきます。
「なんで自分だけこんなに言われるの?」 「どうせまた怒られるし、やる気なくす……」
このように、“やらされている”と感じると、自主性が奪われ、やる気も失われてしまうのです。
特に、「親が望むから」「先生が言うから」という理由だけで行動させられていると、自分ごととして捉えにくくなります。中学生には、「自分で決めた」という感覚がとても重要です。
自分で決める機会を増やす
- 「今日の勉強、何からやる?」と選択肢を与える
- 勉強スケジュールを一緒に作り、自分で調整させる
- 「これをやったら、何かご褒美があるとしたら何がいい?」と動機づけを明確にする
- 家事やお手伝いも、強制でなく“任せる”形で関わらせる
こうした工夫を通して、子どもが“自分で選んで行動した”という実感を持てるようにすることが大切です。
やる気は「命令」からではなく、「選択」から生まれます。自立心を育てる関わり方を意識してみましょう。
やる気を奪う原因10:承認される場面が少ない

「どうせ何やってもムダ」と感じる日々
中学生は大人のように見えて、まだまだ心の中は不安定。自分の行動や努力を認めてもらえることで安心し、やる気につながります。
しかし、学校でも家でも「もっとこうしなさい」「まだできてない」と**“足りないこと”ばかり指摘されてしまうと**、どんどん自己評価が下がり、「どうせ頑張ってもムダだ」と感じるようになってしまいます。
このような状態では、やる気は湧いてきません。必要なのは、ありのままの自分を認めてもらえる経験です。
「結果」より「姿勢」や「努力」を認めよう
- 宿題を始めた瞬間に「いいね!」と声をかける
- テストの点数ではなく、勉強していた様子を褒める
- 何気ない優しさや行動を見逃さずに伝える
こうした**“できていること”に目を向ける姿勢**が、子どもの自信を育てます。
認められることは、心のエネルギー源。褒められる経験がやる気を支えてくれます。
まとめ:やる気は育てるもの。親子で一緒に乗り越えよう!
中学生のやる気が出ない理由は、決して「怠け」や「根性のなさ」ではありません。
- 心と体の成長にともなうバランスの乱れ
- プレッシャーや比較によるストレス
- 成功体験や目標の不足
- 家庭環境や生活リズムの影響
といったさまざまな要因が複雑に絡み合っているのです。
でも大丈夫。 子どもがやる気を失っているときこそ、親の言葉や態度が最大の支えになります。
「この子には今、何が必要なんだろう?」 「どう関われば、少しでも前向きになれるだろう?」
そう考えて、寄り添ってあげるだけでも、子どもの心は少しずつ動き出します。
今日からできる3つの行動アドバイス
✅ 結果ではなく過程を褒める:「よく頑張ってるね」と伝えるだけでOK。
✅ 一日5分でも“話す時間”を持つ:子どもが安心して話せる空気が大切です。
✅ 「やる気が出ないのも自然なこと」と受け止める:焦らず、ゆっくり見守りましょう。
中学生のやる気のなさには、必ず“理由”があります。
大切なのは、その理由を一緒に見つけて、一緒に考えて、一緒に進んでいくこと。
親子で乗り越えた経験は、きっとお子さんの一生の財産になります。
今はやる気がなくても、大丈夫。ゆっくりでいいんです。 あなたの見守りとサポートが、きっとお子さんの未来を照らしていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ぜひ、今日から少しずつ、親子でできることを始めてみてくださいね。

