卒業生が顧問に送る心温まる手紙の例

卒業

【はじめに】

先生、改めまして卒業のご報告をさせていただきます。このたび私は無事、○○高等学校を卒業いたしました。入学した当初は、何事にも自信がなく、部活動にも本気で取り組めるかどうか不安しかありませんでした。しかし、先生が顧問として熱心にご指導くださったおかげで、三年間という限られた時間を心から充実したものに変えられたと感じています。いつも温かいまなざしで私たちを見守り、時には厳しく、時には優しく声をかけてくださったことが私の成長の大きな支えとなりました。

最初は勝手がわからず、戸惑う場面もたくさんありましたが、先生が「失敗を恐れるのではなく、まずはチャレンジしてみよう」と背中を押してくださったことで、私は大きく踏み出す勇気を持てるようになりました。顧問として部活の技術的なことだけを教えるのではなく、一人の人間として自信を失いかけている私に、アドバイスや励ましの言葉をかけ続けてくださったこと、その気遣いと思いやりに、心から感謝しています。

部活動の仲間たちとも、今ではかけがえのない関係になりました。互いに高め合い、助け合いながら同じ目標に向かって努力した日々は、私の中で一生の宝物です。ひとつの目標にみんなで挑戦する楽しさや難しさ、喜びを共有できたのは、先生が常にチームワークの大切さを説いてくださったからこそだと思います。そんな日々を支えてくださった先生の大きな存在を振り返りつつ、これからの人生に向けた感謝の気持ちを綴らせていただきます。

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【部活動の日々を振り返って】

入学当初の私は、何か新しいことを始めるとき、どうしても自分の中で「失敗したらどうしよう」「他人にどう思われるだろう」という不安が先行してしまうタイプでした。中学校時代の部活動では目立った成果も出せず、自分に自信を持てないまま高校生活をスタートしたことを覚えています。そんな私が、高校でも同じ競技を続けたいと思った一番の理由は、やはり過去に抱いた「もっと上手くなりたい」「次こそは悔いのないように頑張りたい」という、わずかながらの前向きな気持ちでした。しかし、それだけではなかなか一歩が踏み出せず、入部の申し込みをするのすら勇気が必要だったのを思い出します。

そんな私にとって救いになったのが、部活見学会で先生がかけてくださった言葉です。私が見学をしているとき、先生は「いまは技術や体力よりも、やる気と楽しむ気持ちが大切だよ」と優しく声をかけてくださいました。高校に入りたてで緊張している私にとって、その言葉は本当にありがたく、心強く感じました。なぜなら「技術が伴っていないからこそ、いま練習する意味があるんだ」と言っていただいたことで、“未熟だからこそ挑戦する価値がある”という事実を気付かせてもらったからです。

入部後は、想像以上にハードな練習や地道な基礎トレーニングの繰り返しで、最初のうちは正直きついと思うことも多くありました。それでも先生は、辛そうな表情をしている私たちに、「ここを乗り越えれば、必ず次のステップに行けるよ」と励ましてくれました。ただ技術指導をするだけではなく、メンタル面のケアや各自の目標設定にも気を配りながらサポートしてくださったことで、私たちは少しずつではありますが、心身ともにたくましく成長していくことができたのです。

先生がいてくださったからこそ、厳しい練習も「頑張ろう」と思えました。さらに、徐々に結果が出始めたときに一緒になって喜んでくださったり、逆にミスをしたときには「次に同じ失敗を繰り返さなければ、今回の失敗にも意味がある」と肯定的に受け止めてくださったりと、前向きな言葉をかけ続けてくださる先生の存在があったから、私は長く続けることができたのだと感じています。

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【顧問の先生から学んだこと】

三年間の部活動を通じ、先生からは本当にたくさんのことを学びました。技術的なこともそうですが、それ以上に大きかったのは、どのような姿勢で物事に取り組むのか、どのように周囲と関わり、支え合いながら前へ進むのか、といった“人として大切な部分”についての教えだったと思います。

まず印象的だったのは「最後まで諦めない気持ち」を何度も説いてくださったことです。とりわけ私は、困難に直面するとすぐ自信を喪失してしまう性格でした。試合で格上の相手と当たったときなどは、開始前から何となく「勝てないかもしれない」という弱気が頭をもたげてしまうことがありました。そんな私に対し先生は、いつも「結果はプレーしてみないとわからないし、やる前からネガティブな考えにとらわれるのはもったいない。まずは一つでも多くの成功例を作ろう」と声をかけてくださりました。

この言葉は、私にとって強烈な気付きとなりました。なぜなら、それまでは「勝ち目が薄い」という先入観を捨てられず、チャレンジそのものを諦めかけていたからです。しかし先生は、前に踏み出すこと自体に価値があること、挑戦した先に成功や成長が待っていることを、実践の場で教えてくださいました。おかげで自分の気持ちを切り替えやすくなり、試合中も自分の力を最大限に発揮できるようになったのです。

また先生は、技術の向上だけでなく「チーム全体の士気を高める」ことにも並々ならぬ情熱を注いでおられました。どれほど個人が強くても、チーム内に足並みの乱れがあれば、うまくいかないことを私たちは学びました。先生は毎回の練習や試合後に、全員でのミーティングを丁寧に行い、それぞれの役割や反省点、そして何より「仲間へのリスペクトと感謝」を必ず確認する時間を設けていました。これは、私にとってとても新鮮でした。というのも、中学時代の部活動では試合の結果に一喜一憂するばかりで、チームが同じ方向を向くための対話をほとんど行ってこなかったからです。

そうした経験から、先生の「仲間とコミュニケーションをとり、お互いの立場を認め合うことが大切」という言葉は、私の胸に深く響きました。勝ったときは全員で喜びを分かち合い、負けたときはそれぞれの意見をきちんと出し合って、建設的な解決策を見つけようとする。こうした地道なやり取りが、チームを強く、そして結束力のある集団に導いてくれるのだと知ったのです。部活動で体験したこれらの学びは、今後の人生で大きな糧になると確信しています。

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【仲間との絆】

部活動を通じて出会った仲間たちは、私にとってかけがえのない存在になりました。高校に入学した当初は、お互いの名前を覚えるところからスタートした私たちが、いつの間にか強い絆で結ばれるようになったのは、先生が「一人ひとりの存在意義を大切にする」場をつくってくださったからだと思っています。

たとえば、練習中でも休憩時間でも、先生は必ず「みんな調子はどう?」と一言声をかけ、私たちを見渡すようにしていました。その気遣いの姿勢を見ていると、自然と部員同士もお互いのコンディションを気遣うようになったのです。また、何かトラブルや悩みが生じたときにも、部員の間で話し合ったり先生に相談したりする中で、一人ひとりの考えや感じ方に耳を傾ける文化が育まれていきました。

試合や大会で大きなプレッシャーを感じる場面でも、仲間同士の励まし合いが私の支えになりました。特に私はメンタル面で弱いところがあったので、仲間から「大丈夫だよ、練習の成果は出せる」と声をかけてもらうだけで、自信が湧いてくる瞬間がありました。それは単なる社交辞令ではなく、本気で応援してくれていると感じられたからこそ、私の心に響いたのだと思います。

仲間との関係が深まるにつれ、私自身も人をサポートすることや励ますことに喜びを感じるようになりました。誰かが失敗して落ち込んでいるときに「自分もそういうときがあったよ」と経験を共有したり、良いプレーが出たら「今のすごく良かったよ」と素直に称賛したり――そうした言葉を交わすうちに、チーム全体が温かい雰囲気に包まれていく実感がありました。この空気を生み出せたのは先生のリーダーシップと、普段からの細やかなコミュニケーションの賜物であると、心から感謝しています。

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【忘れられない試合と先生の言葉】

三年間の中で、特に強く印象に残っている試合があります。それは、地区大会の決勝戦でした。私たちは準決勝で優勝候補と言われていたチームを破り、勢いに乗って決勝まで駆け上がりました。しかし、決勝の相手は私たちが何度も苦杯を嘗めてきた強豪校でした。正直、対戦が決まったときには「やっと決勝に来たのに、勝てるだろうか」という不安が一気に大きくなったのを覚えています。

試合直前、ロッカールームで先生がかけてくださった言葉は、今でもはっきりと心に残っています。「このチャンスを思い切り楽しみなさい。強い相手と当たるからこそ、君たちの成長の場がある。勝ち負けはもちろん大事だけれど、いつも練習してきたことを全力で出し切れるかどうかが一番大事だ」とおっしゃいました。私はその言葉を聞いて、不思議と胸の高鳴りと同時にプレッシャーから解放されるような感覚を得ました。勝ちたいという思いがあるのは当然ですが、先生の言葉は「勝つために押し潰されそうになる自分」を軽くしてくれたのです。

結果的に、その試合には僅差で惜敗しました。悔しさが募り、試合終了後は目頭が熱くなりましたが、コートの外で先生は拍手をして出迎えてくださいました。「よく頑張ったね。負けてしまったけれど、あの強い相手にここまで食らいついた君たちを誇りに思うよ。これがゴールじゃない。まだまだ伸びしろがあるんだから、次はどう成長していくか一緒に考えよう」と言ってくださったのです。その瞬間、悔しさの中にも次への希望が湧いてきました。

このエピソードは、私が「結果にとらわれすぎず、プロセスや成長を大切にする姿勢」を強く実感した場面でした。試合の結果はもちろん重要ですが、それ以上に「全力を尽くす」というプロセスが生む感動や学びがある。その観点を与えてくださったのは、紛れもなく先生の指導と励ましでした。

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【私自身の成長と自信】

先生のご指導のもとで過ごした三年間を通して、私自身、ずいぶんと変わったと感じています。特に「挑戦する姿勢」と「仲間と協力して結果を出す喜び」を学べたことは大きな財産となりました。高校入学当初の私は、失敗を恐れて自分を出すのが苦手でしたが、今では新しいことでも「とりあえずやってみよう」と思えるようになりました。

もちろん、まだまだ未熟な部分は多くありますが、「できるかどうかを考えるより、まずは一歩踏み出すことに価値がある」という先生の言葉が、いつも背中を押してくれます。部活動の経験を通じて培った度胸や挑戦意欲は、今後の進路や社会に出たあとでも大いに活きてくると確信しています。

先生が常に「一人ひとりに役割がある」と言ってくださったことも、私が自信を持てるようになった大きな要因のひとつです。私はどちらかというと器用ではないので、練習でも試合でもミスをしてしまうことが多々ありました。それでも先生は、たとえば誰かをフォローする動きや声出しを積極的に行う私の姿を見て、「チームを引き立てる大事な役割だ」と認めてくださいました。その言葉で、私はミスを怖がるだけでなく「自分にできること」を積極的に探すようになったのです。

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【これからの道と決意】

卒業を迎え、私の次のステージは大学への進学です。部活動を続けるかどうかはまだはっきり決めていませんが、今の気持ちとしては「また新たな環境で挑戦してみたい」と思うようになりました。新しいチームメイトや先輩方との関わりの中で、さらに自分を磨き、技術だけでなく人としても成長していきたいという意欲が湧いています。

もちろん、不安もたくさんあります。大学は高校と比べて自主性がより求められる場所ですし、周囲のレベルも高くなるため、今までとは違った壁にぶつかることもあるでしょう。けれども、先生が教えてくださった「最初から完璧を目指さない」「仲間に助けを求め、協力し合う」という姿勢を思い出すことで、乗り越えていけるのではないかという期待を持っています。

将来的には、今までの経験を活かして誰かの支えになれるような人間になりたいと思っています。高校時代に先生が私たちにしてくださったように、私もまた後輩や仲間を励まし、背中を押してあげられる存在になりたいのです。たとえば大学で新入生にアドバイスをしたり、将来社会に出たときに同僚や部下が悩んでいるところをサポートしたり――いろんな形で、人を支える喜びを感じられる人生を歩みたいと願っています。

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【心からの感謝を込めて】

先生へ、この三年間、本当にお世話になりました。顧問として部活を指導していただいたことだけでなく、何よりも「私たち一人ひとりを大切に見てくださった」ことへの感謝が尽きません。どんなときも否定から入らず、まずは「やってみよう」「考えてみよう」と導いてくださったからこそ、私たちは怖がらずに挑戦を続けることができました。

時には叱られてしまうこともありましたが、それは私たちが甘えや怠けに流れそうになったときに、正しい方向へ引き戻すための先生の愛情だったと、いまならわかります。あの頃は「なんでそこまで厳しく言われなきゃいけないんだろう」と思うこともありましたが、先生の指摘はいつも的を射ていて、そして長い目で見れば私たちの成長につながることばかりでした。

部活動で得た仲間との思い出も、私にとって一生の宝物です。大会や試合だけでなく、合宿や日々の練習後に交わした他愛のない会話、みんなで笑い合った瞬間の一つひとつが、いまでも昨日のことのように鮮明に思い出されます。こうした大切な青春の一ページを、先生とともに築くことができたことを心から嬉しく思います。

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【おわりに】

私たちの卒業はゴールではなく、新たなスタートです。先生から教わったことは、どれもこれからの人生を切り拓いていくための大切な土台となってくれるでしょう。これまで失敗を恐れて足踏みしていた私が、こうして前向きな気持ちで未来を見つめられるようになったのは、紛れもなく先生の存在とご指導のおかげです。

これから先、私は大学や社会へ出て、数々の挑戦や困難に直面することと思います。しかし、そのたびに先生のお言葉やあたたかな笑顔を思い出し、「諦めずにやってみよう」という気持ちを蘇らせていくつもりです。部活動で出会った仲間たちも、それぞれの道へと進んでいきますが、きっと皆同じように、先生から授かった精神を胸に抱いているはずです。

いつかまた成長した姿を先生に報告できるよう、これからも精進してまいります。本当にありがとうございました。先生も、どうかお体に気をつけてお過ごしください。これから出会う新入部員たちの中にも、かつての私のように不安を抱えた生徒がいるかもしれません。先生なら、きっとその子たちの可能性を開いてくださることと信じています。

最後になりましたが、改めて心からの感謝を申し上げます。先生のご多幸とご健康、そしてこれからのご指導が充実したものとなるよう、心よりお祈り申し上げます。もしご都合が合えば、今度ぜひ在校生の応援やOG・OBとしての顔合わせなどの機会に参加させていただきたいと思います。そのときは笑顔で再会できることを楽しみにしています。重ね重ねではございますが、ありがとうございました。

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以上、卒業生が顧問の先生に送る「心温まる手紙」の例でした。見出しや内容は一例ですので、実際にはご自身や部活での思い出、先生とのやりとりなどを具体的に盛り込み、調整してみてください。先生への感謝や、学んだこと、これからの決意など、思いを存分に伝える参考としてご活用いただければ幸いです。